さいきん、給与のデジタル払いが話題になっていますね。
キャッシュレス決済など 身近なところでもデジタル化が進んでいます。
デジタル化と聞くと簡単で便利になるといったイメージを 持つ人もいるのではないでしょうか。
そこで、給与のデジタル払い(デジタル マネー による 賃金 支払い)とはどのようなものなのか 詳しく見ていきたいと思います。
給与のデジタル払いとは
2021年中にも厚生労働省によって給与のデジタル払いが解禁するとニュースや、ワイドショーで話題になっています。
なので、 デジタル払いについて説明する前に、 まずは現在の給与の支払いについて軽く触れておきます。
現在は、特定の金融機関の給与口座を指定され、 その金融機関を介して労働者に給与が支払われています。
しかし今後は、スマホ決済サービスを提供する 資金移動業者の口座にも給与を振り込めるようになる ことが想定されています。
つまり、従来の口座から引き出す現金だけでなく、給与を スマホ決済で使う残高として入金する ことも可能になるのです。
給与のデジタル払い解禁に至る背景
では、なぜこのような政策を始めるに至ったのかについても 簡単に見ていきます。
大きな目的としては、 行政サービスや社会全体のデジタル化の推進が挙げられます。
生活資金の基盤である給与のデジタル払いを可能にすることで、 キャッシュレス化の加速と国全体のデジタル化を促進させる といった狙いでしょう。
実際、キャッシュレス決済の利用者は増えているみたいなので、 便利だと感じる人もいるかもしれないですね。
しかし、安全性の懸念も大きいとされています。
そこで厚生労働省はデジタル払いを担う事業者に、次のような条件案を考えているようです。
- 破綻してもすぐに保証する仕組みがある
- ハッキングなどの不正の損失を補償する仕組みがある
- 現金自動払い機などでの現金の受け取りや口座への資金移動が1円単位で出来る
- 業務や財務の状況を適時に厚労省へ報告できる体制がある
- 確実に払える技術力と社会的信用がある
結構多くの条件がありますが、 消費者の安全を確保できなければ逆効果ともなってしまうので、 仕方ないことですよね。
確かに便利ではありますが、 体制が整うまでに時間はかかるかもしれないですね。
給与のデジタル払いメリットは?
この給与のデジタル払いを解禁することで、 どのようなメリットがあるのでしょうか。 まず、
利用者のメリット
- ATMで現金を引き出す手間と手数料を削減できる
- 自身の生活スタイルに合わせた給与の受け取りができる
- 定期的な給与払いを求めない労働者の資金ニーズにも柔軟に応えられる
- 報酬振り込みまでの期間が短い方を好む傾向にある日雇い労働者やアルバイトなどの非正規雇用者の利便性が向上する
- 日本での銀行口座を持たない外国人が利用しやすくなる
といったことが挙げられます。
企業側のメリット
- 銀行に毎月給与振り込みをしなくて良いため、業務効率の向上や手数料削減が見込める
- 都度払いや少額支払いなどが可能になり、従業員の受け取り手段の多様化に対応できる
- スマホ決済業者が実施するキャッシュバックなどの特典を間接的に提供できるようになる
といったことが挙げられます。
こうして見ると、非常に多くのメリットがありますね。
私も会計前にチャージすることもあるので、 手間が省けて便利になりそうです。
給与のデジタル払いの課題は?
確かに便利になる点は多かったですが、 やはりまだ次のような課題があるようです。
- 資金移動業者が経営破綻した際、スムーズに払い戻し、どのように利用者の資金を保全するか
- 給与の確実な支払いを担保するため、本人確認をいかに徹底するか
- ハッキングによる資金の不正流出やセキュリティー不備による不正送金が起きないようにする
- 給与支払い担当者の事務作業が増える可能性がある
といったことが挙げられます。
やはり、便利であるが故には様々な課題も存在します。
整備体制を確立し、安全に利用できるようになると良いですね。
給与のデジタル払いに対する銀行の反応は?
給与のデジタル払いが主流になると、 資金移動業者が銀行の役割を奪ってしまうことになります。
この現実について銀行界では、顧客との接点機会を失いかねない
といった脅威の声が上がる一方で、
- 安心して預けられる銀行口座の優位性は変わらない
- 月何十万もスマホアプリに給与として送金してほしいという労働者がそれほど多く居るとは思えない
といった声も出ているようです。
確かにキャッシュレス決済が普及すると便利ではありますが、これまで長年に渡って取引などで培ってきた信頼を簡単に失うわけにもいかないと思いますし、スマホに給与の全額が入っているのもなかなか大きなリスクですよね。
まとめ
ここまで、給与のデジタル払いとはどのようなものなのか、 またそのメリットと課題や銀行界の反応を見てきました。
デジタル化の進展によって キャッシュレス決済が増加している現代で 更にデジタル化を加速させるだけでなく、 多くのメリットも存在する政策でしたね。
しかし、経営破綻後の資金保全や 不正流出・不正送金の対策といったシステム上の課題も 多く存在します。
給与といった生活基盤である資金がスマホ1つに入るわけですから、安全性が十分に確保できるよう、 慎重に体制を整えてもらいたいですね。